2026年2月改定、永住許可ガイドラインの厳格化と企業側として押さえるべき視点

はじめに

2026年2月24日、永住許可に関するガイドラインが改定されました。 今回の改定は、永住許可の要件そのものが大々的に変更されたわけではなく、

  • 現在の在留資格の適合性
  • 公的義務(税金・社会保険等)の履行状況
  • 在留期間要件の整理

といった、永住許可申請前の状態をより厳密に確認する方向性が示されたものと考えられます。

永住許可申請、在留資格は、個人の事柄ですが、審査内容の中には就労実態や届出の遵守など、企業側の管理とも無関係ではない要素が含まれています。
この点は、在留資格全般の適正管理という観点からも押さえておきたいポイントです。

 現在の在留資格要件への適合性の確認

改定されたガイドラインでは、永住許可の要件として従来からある素行善良・独立生計・国益適合のほかに、現在の在留資格について法務省令で定める上陸許可基準等に適合していることが改めて明示されました。

つまり、取得時には条件を満たしていた在留資格であっても、現在の実態と合致していない場合には要件を満たさないということになります。

例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格を有しながら、現在の実際の業務内容がその活動範囲を超えている場合などが該当します。転職や異動も多い近年の雇用環境では、気づかないうちに在留資格と業務内容との間のズレが生じているケースも少なくありません。

税金・社会保険料の期限内納付の重視

税金・社会保険料については、従来から完納の要件がありましたが、今回の改定では、納付期限を守っているかという点も厳格に確認されます。

申請時に未納がなくても、

  • 督促後に納付した
  • 過去に期限超過があった

といった履歴がある場合には、評価が厳しくなる可能性があります。

なお、会社員として厚生年金保険・健康保険に加入している場合、社会保険料の納付そのものは、原則として企業側が手続・管理を行います。

そのため、今回の改定で特に問題となりやすいのは、自営業者や「経営・管理」の在留資格など、本人が直接、税金や社会保険料の納付管理を行う立場にあるケースです。

もっとも、会社員であっても、社会保険の加入手続や届出に不備があった場合や税金の納付状況に問題がある場合などには、結果として本人の永住許可申請に影響が及ぶ可能性がある点には、注意が必要です。

 在留期間「3年」の暫定措置終了――実務への影響は大きい

永住許可申請には、現に有している在留資格について「最長の在留期間」を有していることという要件があります。

例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格であれば、最長5年の在留期間を持っていることが原則です。

これまでは、在留期間が「3年」の場合でも最長期間(5年)を有しているものとして扱う特例がありましたが、この取扱いは2027年3月31日までの暫定措置とされています。

つまり、2027年4月以降は、原則として5年の在留期間がなければ永住申請ができなくなります(2027年3月31日時点で3年の在留期間を有している場合は、初回申請に限り猶予あり)。

外国人社員から永住申請の相談を受けた際には、在留期間の確認を早めに行うことが重要です。

変更の背景として考えられる点

今回のガイドライン改定の背景には、複数の要因があると考えられます。

  • 在留資格と実際の就労内容のミスマッチ是正
  • 公的義務の適正履行の重視
  • 2027年4月施行予定の改正入管法との整合性

特に改正入管法では、税金や社会保険料の故意の不納付などを理由とした永住資格の取消制度が導入される見込みであり、取得時・取得後の管理基準を整理する動きと整合していると考えられます。

企業・就労管理の観点からの注意点――まず何を確認すべきか

今回の改定を踏まえると、企業の人事・労務担当者として、まず以下の点を確認・整理しておくことが有効です。

  1. 在留資格と業務内容の一致 転職・異動・職務変更があった場合、現在の在留資格の活動範囲と実際の業務内容が合致しているか
  2. 各種届出の状況 就労内容の変更や転職に伴う外国人雇用状況の届出(ハローワーク)や所属機関等に関する届出(入管)が適切に行われているか
  3. 社会保険・税務手続の管理 加入・納付が期限内に適正に処理されているか

これらは在留資格の適正管理に関係する事項であり、永住申請の審査においても無関係ではありません。外国人社員を雇用している企業であれば、定期的な確認の機会を設けることをお勧めします。

おわりに

今回の永住許可ガイドラインの改定は、制度の大枠を変えるものではありませんが、審査の運用をより厳格、明確にするものです。

永住許可は本人の問題ではありますが、審査で確認される内容の多くは、企業側の日常的な労務管理とも無関係ではない点には注意が必要です。

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