永住許可ガイドラインが2026年10月1日改定―日本語・年金・特定活動の取扱い等を具体化

2026年10月1日、出入国在留管理庁は「永住許可に関するガイドライン」を改定しました。

当事務所では2026年3月にも、同年2月24日に行われた永住許可ガイドラインの改定について取り上げました。
※以前の記事「2026年2月改定、永住許可ガイドラインの厳格化と企業側として押さえるべき視点」

今回の改定では、永住許可の基本的な要件を変更するというよりも、収入や年金、日本語能力、日本の制度・ルールへの理解、学齢期の子どもの就学、「特定活動」で在留していた期間の取扱い等、審査上考慮される事項や考え方がかなり具体的に示されています。

また、原則10年在留に関する一部の特例については、要件そのものが変更されています。新しいガイドラインは、原則として2027年4月1日以降に行われる永住許可申請から適用されます。

今回は、企業で働く外国人にも関係の深いポイントを中心に紹介します。

永住許可の基本的な3要件は変わらない

永住許可については、引き続き、

  • 素行が善良であること
  • 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
  • その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

という3つの要件が基本となります。

一方、新しいガイドラインでは、それぞれの要件について、どのような事情を審査上考慮するのかが従来より詳しく整理されています。

出入国在留管理庁は、「永住者」を在留活動・在留期間の制限がない最も安定した法的地位と位置付けており、その後の生涯を日本に生活の本拠を置いて過ごすことが想定されることから、永住許可については特に慎重な審査が必要であるとしています。

収入だけでなく、将来の年金も考慮

独立生計要件については、現在の収入だけではなく、将来の生活基盤についても具体的な考え方が示されました。

収入については、原則として、申請者が属する世帯の年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達しているかが考慮要素とされます。

さらに今回のガイドラインでは、将来受給できる年金の見込額についても具体的な考え方が示されています。

申請時の年齢、これまでの年金加入状況、従前の働き方、加入期間、その期間の平均年収、現在の年収などから将来の年金受給見込額を推計し、一定の基準となる年金水準に達しているかを考慮します。

受給見込額がその水準に達しない場合であっても、将来の不足分を補うことのできる金融資産がある場合には、その点も考慮される仕組みです。

つまり、単に「現在の年収がいくらか」だけではなく、今後も日本で安定した生活を営める経済的基盤があるかという観点が、より明確になったと言ええます。

日本語能力はB1相当以上が考慮要素に

今回特に注目されるのが、日本語能力です。

新しいガイドラインでは、日本で長年生活し、地域社会に円滑に適応して生活するためには一定水準の日本語能力が必要であるとして、「日本語教育の参照枠」のB1相当レベル以上の日本語能力を有しているかが考慮要素として明示されています。

ただし、これは「すべての申請者にB1以上を一律に求める」というものではありません。

高度人材外国人やその家族、初等教育または中等教育を累計6年以上受けた者など、申請者本人にB1相当以上を求める必要性・相当性があるとは言えない場合には、考慮要素としない場合も示されています。

日本の制度・ルールへの理解、子どもの就学も

新しいガイドラインでは、日本語能力だけではなく、日本の制度・ルール等への理解についても考慮することが明示されています。

「生活・就労ガイドブック」に記載されている事項を中心に、日本の制度・ルール等について一定水準以上の理解があるかを確認する考え方が示されています。

また、申請者が義務教育期間にある子どもを養育している場合、その子が小学校または中学校に通学していることについても考慮されます。申請者自身が学齢期にある場合も同様です。

収入、年金、日本語、制度理解、子どもの就学といった事項を見ると、日本で長期的に生活の基盤を形成しているかを幅広く確認する方向性が、これまで以上に明確になったと言えるでしょう。

原則10年在留と「特定活動」の取扱いも明確化

永住許可では、原則として引き続き10年以上日本に在留し、そのうち就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが求められます。

今回の新ガイドラインでは、在留資格「特定活動」について、その期間がそもそも原則10年の在留期間に算入されるのかについても、基本的な考え方と具体例が示されました。

「特定活動」は、同じ在留資格名であっても、外国人ごとに指定される活動内容が異なります。

新ガイドラインでは、特例的、かつ、一時的に本邦に在留することが認められているものについては、「10年」の期間に算定しないとされ、主な例として、

  • 継続就職活動
  • 就職内定者
  • 本邦の大学等を卒業して起業活動を行う留学生
  • 難民認定等手続中
  • 本国における情勢不安を理由に本邦への在留が認められている者

が挙げられています。

これまでも、出入国在留管理庁は「特定活動」が永住許可上の「就労資格」に該当するかについて別途資料を公表しており、例えば本邦大学等卒業者(告示46号)等は就労資格に該当する一方、ワーキングホリデーやインターンシップは該当しないと示されていました。

今回の改定では、それに加えて、「特定活動」で在留していた期間を原則10年そのものに算入するかについてもガイドライン上で示された点が実務上重要です。

配偶者等の「原則10年」の特例は要件が変更

一方、今回の改定には、単なる考慮事項の具体化ではなく、要件そのものが重くなる部分もあります。

2026年2月24日改定のガイドラインでは、日本人・永住者・特別永住者の配偶者について、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していることが、原則10年在留の特例として示されていました。また、実子等については、引き続き1年以上日本に在留していることとされていました。

これに対し、新ガイドラインでは、実体を伴った婚姻生活が5年以上継続し、かつ、引き続き3年以上日本に在留していることとされ、実子等についても、引き続き3年以上日本に在留していることへ変更されています。

この部分については、従来より永住許可までに必要となる期間が長くなる明確な変更です。

新ガイドラインの本格適用は2027年4月1日から

今回の改定日は2026年10月1日ですが、新ガイドラインの全内容が直ちにすべての申請に適用されるわけではありません。

新ガイドラインは、原則として2027年4月1日以降の申請から適用されます。
ただし、「収入」と「公共の負担とならないこと」に関する取扱いについては先行して適用され、2026年10月1日以降の申請に加え、同年4月1日以降に申請され、10月1日時点で申請中の案件にも適用されます。

したがって、これから永住許可を検討する場合には、申請時期によって適用されるガイドラインの内容が異なることにも注意が必要です。

永住許可は企業にとっても無関係ではない

永住許可は外国人本人が行う申請ですが、外国人材を雇用する企業にとっても無関係ではありません。

「永住者」の在留資格には、在留活動・在留期間の制限がありません。そのため、永住許可を受けた従業員については、就労系在留資格の活動範囲を理由として職務内容を限定する必要がなくなり、在留期間の更新も不要となります。

企業にとっては、長期的なキャリア形成や配置を検討しやすくなる面があります。

もっとも、永住許可を受けたからといって、その従業員が会社に定着することが保証されるわけではありません。活動制限がなくなるため、本人にとっては職業選択や転職の自由度が高まることにもなります。

それでも、日本で長期的に生活し、働き続けたいと考える外国人従業員を支援することは、人材との長期的な関係づくりを考える上で一つの選択肢になるでしょう。

企業としてできることを考える

今回の改定では、収入・年金、日本語能力、日本の制度・ルールへの理解、子どもの就学、在留歴等、永住許可に当たって確認される事項がかなり具体化されました。

もちろん、永住許可は外国人本人の在留状況や家族状況等を含めて総合的に判断されるものであり、企業が許可を保証できるものではありません。

ただ、企業として関与できることもあります。

適正な雇用・労働条件を確保すること、在留資格や就労可否を適切に確認すること、社会保険関係の手続を適切に行うこと、日本語学習の機会を提供・案内すること、日本で生活する上で必要となる制度やルールに関する情報を提供すること等は、外国人従業員が日本で安定して生活し、働いていく環境づくりにつながります。

永住許可を希望する外国人従業員がいる場合、申請直前になって必要書類を確認するだけではなく、日頃の外国人雇用管理や定着支援をどのように行うかという視点も、今後はより重要になってくると考えます。

今回のガイドライン改定は、一部で従来より厳しい要件が設けられる一方、これまで必ずしも明確ではなかった審査上の考え方を具体化したものでもあります。

企業としても、要件の厳格化のみに着目するのではなく、外国人従業員が日本で長期的に生活し、キャリアを形成していくために、どのような環境を整えることができるのかを考える一つの機会するべきと考えます。

なお、同じ2026年10月1日には、「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」も新たに策定されています。こちらは2027年4月1日から運用が開始される予定であり、永住許可取得後の在留管理を考える上でも重要な内容です。

【参考】

出入国在留管理庁「永住許可(入管法第22条)」
出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」
出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」
出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドラインにおける就労資格に該当する『特定活動』について」

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