2026年6月2日育成就労制度の協力覚書(MOC)が初締結―受入れの前提となる二国間取決めとは?
はじめに
2026年6月4日、日本政府は、タイ王国との間で、育成就労制度に関する初めての協力覚書(MOC)を締結したこと(6月2日付)を公表しました。
今回は、育成就労制度における二国間取決めについて、公表資料をもとに紹介します。
協力覚書(MOC)は新しい仕組みではない
前提として、協力覚書(MOC)そのものは、今回初めて導入された仕組みではありません。技能実習制度においても、送出国との間で二国間取決めが作成されていました。
その目的は、制度の適正かつ円滑な運営や送出機関の適正化等を図ることにあります。
したがって、今回のタイとの協力覚書は、「協力覚書という仕組みが新設された」というよりも、育成就労制度の開始に向けて、送出国との取決めや送出機関の整理が具体化してきた動きとして捉える方が実態に近いように思われます。
育成就労制度では、二国間取決めと送出機関が制度に組み込まれている
育成就労制度に関する現在公表されている資料では、二国間取決めを作成した国から育成就労外国人を受け入れることとされています。
また、送出機関についても、認定送出機関リストに掲載された機関による取次ぎが前提とされています。
ここで注意したいのは、認定されるのは国そのものではなく、各国に存在する個別の送出機関であるという点です。
制度上は、概ね次のような流れが想定されています。
送出国
↓
日本との二国間取決め(MOC)
↓
認定送出機関リスト
↓
送出機関
↓
監理支援機関・受入企業
現時点ではタイからしか受入れできないのか
今回、初めてタイと協力覚書が締結されたのであれば、今後はタイからしか受け入れられないのかという疑問も生じると思います。
この点について、現在公表されている育成就労制度Q&Aでは、施行日前申請に関して、二国間取決めの協議中である国について、暫定送出機関リストの提供を受けた場合、当該リストに掲載された送出機関について施行日前申請を可能とする取扱いが示されています。
また、外国人技能実習機構(OTIT)では、既に暫定送出機関リストも公表されています。
もっとも、これらは施行日前申請に関する取扱いであり、実際の受入れに当たっては、やはり二国間取決めの作成や認定送出機関リストへの掲載がポイントになります。
現時点では、タイのみを前提とした制度運用が予定されているというわけではなく、制度開始に向けた取扱いや制度整備が段階的に進められている状況と言えます。
おわりに
今回のタイとの協力覚書は、単に締結国が一つ増えたという話ではなく、育成就労制度の開始に向けて、送出国との取決めや送出機関の整理が具体化してきたことを示す動きとも考えられます。
また今後も、協力覚書の締結や認定送出機関等が順次整理されていくことが予想されます。
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