2026年10月1日から在留許可手数料が大幅改定―変更・更新は在留期間別、永住許可は20万円へ
2026年10月1日から、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可、永住許可に係る手数料が大幅に改定されます。
当事務所では2026年4月、国会答弁で示された在留許可手数料の引上げ方針について取り上げました。
当時は、在留資格変更・在留期間更新について在留期間に応じた手数料を設定することや、永住許可について大幅な引上げを行う方向性が示されていましたが、具体的な金額や施行時期については正式決定前の段階でした。
その後、改正入管法施行令が公布され、2026年10月1日から施行されることとなり、同日以降の申請について新たな手数料が適用されることとなりました。
出入国在留管理庁は、今回の改定について、審査に要する実費、出入国・在留の公正な管理に要する費用、諸外国における同種の手数料の額、今後の物価上昇等を総合的に勘案したものと説明しています。
今回は、改定後の手数料と、外国人本人・外国人材を雇用する企業が確認しておきたいポイントを整理します。
※前回の記事「在留資格の変更・更新許可申請、永住許可申請の手数料が大幅引上げへ?―国会答弁で示された今後の方向性」
変更・更新は「許可された在留期間」によって手数料が変わる
現在、在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料は、窓口申請では6,000円、オンライン申請では5,500円です。
そして2026年10月1日以降は一律の金額ではなく、許可された在留期間に応じて手数料が決まる仕組みになります。
出入国在留管理庁は、在留期間によって、出入国及び在留の公正な管理に関する施策による受益の程度が異なると考えられることから、在留期間に応じた手数料を設定すると説明しています。
窓口申請の金額については、出入国在留管理庁が収入印紙の組合せとともに公表しています。なお、オンライン申請については、これとは別に決済手数料が必要となります。
例えば「1年」が許可された場合には、窓口申請では33,000円、オンライン申請では27,000円となります。
また、「3年」が許可された場合には「3年以上5年未満」に該当するため、窓口申請では64,000円、オンライン申請では56,000円となります。
注意したいのは、申請時に希望した在留期間ではなく、実際に許可された在留期間によって手数料が決まるという点です。そのため、変更・更新を申請した時点では、最終的に納付する金額は確定していないことになります。
永住許可は1万円から20万円へ
今回、特に大幅な引上げとなるのが永住許可です。
現在の永住許可手数料は10,000円ですが、10月1日以降に申請し、許可を受けた場合には200,000円となります。
単純な金額比較では20倍となり、永住申請を検討する外国人にとっては、これまでとはかなり異なる負担になります。
なお、経済的困難その他の特別の理由がある一定の場合には、手数料の減額・免除制度も設けられています。
減額の対象となる場合、在留資格の変更・在留期間の更新は10,000円、永住許可は20,000円まで減額されます。対象者には一定の要件があり、永住許可については減額対象となる者の範囲も限定されています。
9月30日までに受け付けられた申請は旧手数料
新しい手数料が適用されるかどうかは、許可日ではなく申請の受付日によって決まります。
2026年9月30日までに受け付けられた申請については、実際の許可が10月1日以降になった場合でも、改定前の手数料が適用されます。一方、10月1日以降に受け付けられた申請には、新しい手数料が適用されます。
もっとも、手数料だけを理由に、必要な準備が十分でない状態で申請を急ぐことは避けるべきと言えます。
オンライン申請は納付方法も変更
2026年10月1日以降は、オンライン申請における手数料の納付方法も変わります。
これまでの収入印紙による納付から、コンビニ決済または銀行決済へ変更されます。
銀行決済ではインターネットバンキングを利用することもできますが、クレジットカード決済やQRコード決済には対応していません。また、在留許可手数料とは別に、指定された決済代行事業者への決済手数料が必要となります。
例えば、オンライン申請では、許可された在留期間に応じて次の金額となります。
・1年:27,000円+決済手数料330円=27,330円
・1年以上3年未満:42,000円+決算手数料330円=42,330円
・3年以上5年未満:56,000円+決済手数料550円=56,550円
・5年以上:65,000円+決済手数料550円=65,550円
窓口で受け付けられた申請については、従来どおり収入印紙による納付となります。
企業も「誰が負担するのか」を考える必要がある
前回の記事でも触れましたが、今回の手数料引上げにより、外国人本人と企業のどちらが費用を負担するのかという点も、今後の実務上の論点になりそうです。
制度上、改定後の手数料は、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可または永住許可を受ける外国人が納付することとされています。
そのため、法定手数料を当然に会社が負担しなければならないというものではありません。
一方、就労系の在留資格の変更・更新は、その外国人が会社で働き始めたり、働き続けたりするために必要となる手続でもあります。
前回の記事でも、会社が手数料を負担することについて、外国人材に対する福利厚生や定着支援の一環として考える余地があることを取り上げました。
今回、実際の負担額が大きくなることが決まった以上、企業としても、
・法定手数料は本人負担とするのか
・会社が全部または一部を負担するのか
・採用時の変更申請と在職中の更新申請で取扱いを分けるのか
・行政書士に依頼する場合の報酬についてはどうするのか
といった点を、一度整理しておいてもよいでしょう。
特に複数の外国人従業員を雇用している場合、案件ごとに個別対応を続けると、従業員によって取扱いが異なることも考えられます。
今後は、福利厚生や人材定着・支援という観点も含め、自社としての費用負担の考え方を検討しておく必要性が高まるのではないでしょうか。
在留許可申請の意味を改めて考える機会に
今回の手数料改定によって、在留資格の変更・更新や永住許可に伴う金銭的な負担は大きくなります。
ただし、手数料が上がったからといって、在留許可申請の性質そのものが変わるわけではありません。
在留資格に関する各種申請は、単に書類を提出すれば当然に認められるものではありません。今回手数料が改定される在留資格の変更・更新についても、一定の要件や事実関係を踏まえて、出入国在留管理庁の審査を受ける「許可」の手続です。
出入国在留管理庁のガイドラインでも、在留資格の変更・更新は「適当と認めるに足りる相当の理由」がある場合に許可するものとされ、在留資格該当性、上陸許可基準への適合、現在の活動状況、在留状況、在留の必要性等を総合的に考慮して判断するとされています。
また、日本で就労している、または就労しようとする場合には、雇用・労働条件が労働関係法令に適合していることも考慮事項とされています。
その意味では、「不許可になったら、また申請すればよい」と単純に考えられるものでもありません。
不許可となった場合には、その理由や申請時の事実関係を確認し、再申請が可能なのか、どのような点を見直す必要があるのかを検討することになります。
今回の大幅な手数料改定は、こうした在留資格の変更・更新や永住許可がどのような意味を持つ手続なのかを、外国人本人だけでなく、外国人材を雇用する企業にとっても改めて捉え直す一つの機会になるのではないでしょうか。
【参考】
出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」
出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等に関するQ&A」
出入国在留管理庁「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」
出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」
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