在留資格「経営・管理」の更新でも確認される労働関係法令遵守―資本金等の新基準だけではない確認事項

はじめに

在留資格「経営・管理」については、上陸基準省令等の一部改正が行われ、2025年10月16日に施行されました。

本改正により、常勤職員の雇用、資本金の額等、日本語能力、経歴、事業計画書の確認等、複数の要件が見直されています。

これに関連して、出入国在留管理庁は、在留資格「経営・管理」に関する「特にお問合せが多い質問」をホームページにて公表しています。当該ページは2026年6月26日にも更新されており、その中では、在留期間更新許可申請において確認される事項についても説明されています。

在留資格「経営・管理」については、2025年10月16日施行の上陸基準省令等の改正により、資本金等の基準、常勤職員の雇用、事業計画書の確認等が重要視されています。

もちろん、これらは重要な確認事項です。

しかし、出入国在留管理庁のQ&Aでは、在留期間更新許可申請において、労働基準法や最低賃金法等の労働関係法令の遵守状況、社会保険・雇用保険・労災保険等の加入状況や納付状況、事業に必要な許認可の取得状況等も確認されることが示されています。

今回は、在留資格「経営・管理」の更新でも確認される労働関係法令遵守について取り上げます。

経営者として遵守すべきルールも確認される

出入国在留管理庁のQ&Aでは、在留資格「経営・管理」の在留期間更新許可申請において、経営者として遵守すべきルールについても確認するとされています。

具体的には、労働基準法や最低賃金法等の労働関係法令の遵守状況、社会保険、雇用保険、労災保険等の加入状況や納付状況、事業に必要な許認可の取得状況等が挙げられています。また、これらの事項に問題がある場合には、審査において消極的な要素と判断され、更新が認められない事例もあるとされています。

つまり、在留資格「経営・管理」の更新では、経営者として適切に事業を運営しているかという点についても確認されるということです。

従業員を雇用している場合には、労働条件、賃金、労働時間、社会保険・労働保険の手続等、会社として守るべき基本的な事項が多く存在します。

資本金等以外のポイント

在留資格「経営・管理」の更新では、資本金等の基準も重要な確認事項となります。ただし、既に在留資格「経営・管理」で在留している方については、資本金等が3,000万円に満たないことのみをもって、一律に在留期間更新許可申請が不許可となるものではありません。

一方で、資本金等の基準だけを確認すれば十分というわけでもありません。

例えば、従業員を雇用しているにもかかわらず、労働条件の明示が不十分である、最低賃金を下回っている、労働時間管理や残業代の取扱いが不適切である、社会保険や雇用保険の加入手続に漏れがあるといった状態があれば、経営者として遵守すべき基本的なルールに問題があると判断される可能性があります。

特に、在留資格「経営・管理」は、外国人本人が日本で事業の経営又は管理を行うための在留資格です。

そのため、会社側の労務管理体制に不備がある場合や、労働関係法令の遵守状況に問題がある場合には、在留資格「経営・管理」の活動を適正に行っているかに直接関わる事柄となります。

当事務所で確認していること

当事務所では、就労系在留資格に関するご相談に際し、必要に応じて労務リスクの事前チェックを行い、雇用契約、労働条件、社会保険・雇用保険・労災保険の適用、労働関係法令の遵守状況等も確認しています。

これは、在留資格「経営・管理」に限った話ではありません。

「技術・人文知識・国際業務」や「技能」等の就労系在留資格においても、会社側の雇用条件や労務管理の状況は、受入機関としての適正性や、事業運営の安定性・継続性を確認するうえで関係する事項です。

そのため、在留資格手続を進める際には、単に申請に際して書類を整えるだけではなく、そもそも会社側の雇用管理や労務管理体制に問題がないかを事前に確認しておくことは重要です。

更新前に確認しておきたい事項

在留資格「経営・管理」の在留期間の更新を控えている場合には、少なくとも次のような事項を確認しておくことが考えられます。

・資本金の額等の基準を満たしているか
・常勤職員の雇用に関する基準を満たしているか
・事業の継続性に問題がないか
・税金の納付状況に問題がないか
・社会保険、雇用保険、労災保険等の加入・納付状況に問題がないか
・従業員に対する労働条件の明示が適切に行われているか
・最低賃金、割増賃金、労働時間管理に問題がないか
・その他、労働基準法・最低賃金法等の労働関係法令に関する違反がないか
・事業に必要な許認可を取得しているか
・外国人を雇用している場合の在留カードの確認や外国人雇用状況届出に漏れがないか

なお、これらの確認は在留期間更新のみならず、会社として適正に事業を継続していくためにも重要です。

おわりに

在留資格「経営・管理」の更新では、資本金等の基準、常勤職員の雇用、経営状況、納税状況等が重要になります。

しかし、それだけでなく、労働基準法や最低賃金法等の労働関係法令の遵守状況、社会保険・雇用保険・労災保険等の加入状況や納付状況、事業に必要な許認可の取得状況等も確認されることが示されています。

在留期間更新許可申請に際しては、申請書類を整えるだけではなく、会社側の労務管理体制整備、労働関係法令遵守に問題がないかも確認することも大切です。

【参考】出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」

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