外国人雇用と在留資格手続のこれから―厳格化の流れから考える日々の労務管理

はじめに

近時、外国人の受入れや在留管理をめぐる制度見直しの動きが続いています。

2026年7月24日には、第3回「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」が開催され、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」の進捗状況や、今後の取組の方向性について議論されました。

また、政府の発信では、在留管理の適正化や、日本語・制度・ルール等を学習するプログラムの創設の効果等も踏まえ、外国人の受入れに関する基本方針を取りまとめる方向性も示されています。

こうした動きは、在留資格手続の観点から、「審査が厳しくなる」、「これまでより不許可リスクが高まる」といった形で受け止められることがあります。

もちろん、在留資格手続において、要件を満たしているか、提出資料に不足がないか、活動内容を適切に説明できているか等を確認することは非常に重要です。

しかし、個人的には、これらの動きを単に「審査の厳格化」とだけ捉えるのではなく、外国人材を受け入れる企業において、適正な在留資格制度の運用と、将来の共生のための体制整備がより重視される流れとして見ることもできるのではないかと考えています。

在留資格手続だけに注目すると見落としやすいこと

在留資格手続は、採用時や在留期間更新時に発生する「申請手続」として捉えられがちです。

たしかに、申請書類を準備し、必要資料を揃えて入管に申請するという意味では、在留資格手続は、形式的には行政手続の一つです。

しかし、特に就労系在留資格の場合、在留資格手続は、日々の雇用管理と切り離して考えることはできません。

例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」であれば、本人の学歴・職歴と業務内容との関係、雇用契約上の職務内容、実際の勤務実態、配置転換等が問題となることがあります。

また、特定技能については、これらに加えて、支援計画が適切に実施されているか、必要な届出が行われているか、登録支援機関に委託している場合には役割分担が明確になっているかといった点も確認しておく必要があります。

つまり、在留資格手続は、申請時だけ必要書類を準備すれば足りるものではありません。

「厳格化」の意味

在留資格審査の厳格化という言葉だけに注目すると、どうしても「許可が取りにくくなる」、「不許可が増える」という印象になりやすいところです。

もちろん、制度の趣旨に合わない申請や、実態と異なる説明、不適切な雇用管理がある場合には、在留資格手続の場面でも、これまで以上に問題となる可能性があります。

だからこそ、外国人材を雇用する企業では、日頃から職務内容、労働条件、税・社会保険料の取扱い、在留資格との関係等を確認しておくことが重要になります。

外国人雇用においては、在留資格の許可を得ることだけが目的ではありません。許可を受けた後も、本人が安心して働き、企業側も適正に雇用管理を行い、制度の範囲内で継続的に就労できる状態を保つことが大切です。

その意味では、在留管理の適正化の流れは、単に外国人本人に対する管理を強めるという話ではなく、受け入れる企業側にも、より丁寧な確認と管理が求められる流れとも言えるでしょう。

外国人本人に任せきりにしないこと

就労系在留資格に関する手続は、外国人本人だけに任せておけばよいものではありません。

本人が自分の在留資格や就労できる範囲を理解しておくことは当然重要です。しかし、実際に業務を指示し、日々の勤務実態を把握するのは事業主です。

そのため、外国人従業員を雇用する企業では、採用時の在留資格確認だけでなく、採用後の職務内容の変更、配置転換、長期出張、副業・兼業、税・社会保険・労働保険の取扱い等についても、必要に応じて確認しておく必要があります。

特に、職務内容や勤務形態が変わる場合には、その変更が在留資格上問題ないかを事前に把握しておくことが大切です。

本人が「大丈夫だと思います」と言っていても、会社側がそのまま鵜呑みにしてよいとは限りません。また、企業側も「在留カードを確認しているから大丈夫」と考えるだけでは不十分な場合があります。

当然、在留カードの確認は重要ですが、職務内容、雇用契約、勤務実態等をあわせて確認する視点が必要です。

労務管理と在留資格との関連性

外国人雇用では、労務管理と在留資格手続は別々の問題のように見えることがあります。

しかし、実務上、両者は密接に関係しています。

例えば、雇用契約書や労働条件通知書に記載された職務内容と、実際の業務内容が大きく異なる場合、在留資格手続の場面でも説明が必要になることがあります。

また、賃金、労働時間、税・社会保険・労働保険の取扱い等は、労務管理上の問題であると同時に、在留資格の更新や将来の在留にも関係する場合があります。

在留資格手続のときだけ資料を整えるのではなく、日頃から、雇用契約、職務内容、勤務実態、法令遵守の状況を確認しておくことが重要です。

これは、外国人本人を過度に管理するという意味ではなく、むしろ、本人が日本で安定して働き続けるためにも、会社側が制度を理解し、適正な雇用管理を行うことが必要になるということです。

今後、企業に求められる確認

今後、外国人の受入れや在留管理をめぐる制度・運用は、さらに見直されていく可能性があります。

その中で企業に求められるのは、単に在留資格の申請時だけ協力することではありません。

申請書類の準備や許可取得だけに目を向けるのではなく、採用後の職務内容、勤務実態、労働条件、税・社会保険・労働保険の取扱い等を、日頃の雇用管理の中で確認しておくことが重要です。

こうした日々の確認が、外国人本人の在留の安定にも、企業側のリスク管理にも繋がります。

まとめ

外国人の受入れや在留管理をめぐる最近の動きは、「審査の厳格化」という言葉で語られることが少なくありません。

たしかに、在留資格手続の場面では、要件の確認や資料の説明がこれまで以上に重要になる場面もあると思います。

ただ、外国人雇用の実務では、在留資格手続だけに注目するのではなく、やはり日々の労務管理が重要です。

在留資格手続は、申請時だけの問題ではありません。採用後の働き方、雇用契約、勤務実態、税・社会保険・労働保険の取扱い等と繋がっています。

外国人従業員を雇用する企業では、在留資格、雇用契約、職務内容、労務管理を切り離さず、日頃から確認できる体制を整えておくことが大切と考えます。

【参考】
・内閣官房「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議(第3回)議事次第・資料
・出入国在留管理庁「外国人が日本語や我が国の制度・ルール等を学習するプログラムの検討に関する『法務大臣政務官PT報告書』

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就労系在留資格の申請では、業務内容の整理だけでなく、雇用契約や労働条件など労務面の確認も重要になることがあります。

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